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韓国の年齢の上下関係とは?初対面で生まれ年を聞く理由

韓国文化
目次
  1. 韓国人はなぜ初対面で年齢を聞くのですか?
  2. 年齢がわかると、呼び方はどう変わりますか?
  3. ため口に切り替えるのは、いつ、誰からですか?
  4. 2023年の満年齢統一で、韓国の年齢の上下関係は変わったのですか?
  5. 韓国の学年は生まれ年で決まるのですか?
  6. 年上なら、職場や学校でもいつも上の立場ですか?
  7. 年齢を聞かれたら、どう答えればいいですか?
  8. よくある質問

ソウルの会社の会食を思い浮かべてください。名刺が行き交い、最初の一杯が注がれ、おかずに箸が伸びるかどうかのうちに、向かいの席から「몇 년생이세요?(ミョン ニョンセンイセヨ/何年生まれですか)」と聞かれます。初めての人には、ずいぶん立ち入った質問に聞こえるかもしれません。けれども韓国では、年齢の上下関係が文法そのものに組み込まれていて、この質問は「どの言葉で話しましょうか」と確かめるのに近いものです。答えひとつで、そのあとの文の終わり方も、お互いの呼び方も、そして「もう少し気楽に話しませんか」と言い出せるのが誰なのかも決まります。よくある説明は「敬語」と「儒教」の二語で終わりますが、知っておく価値があるのは、答えたあとに何が起こるかのほうです。

クイックアンサー

  • 韓国人が年齢を聞くのは、どちらが年上かによって話し方の段階、相手の呼び方、そしてため口(반말)に切り替えられるかどうかが決まるからです。
  • 答えは生まれ年で伝えるのが確実です。韓国は2023年6月28日から満年齢を法律上の基本にしましたが、小学校の入学・兵役・お酒の年齢はいまも生まれ年で数えるため、2026年は2007年以前に生まれた人ならお酒を買えます。
  • 相手から「말 놓을까요?(ため口にしましょうか)」と持ちかけられるまでは丁寧な話し方を続け、職場では年齢より役職が優先されると覚えておきましょう。

韓国人はなぜ初対面で年齢を聞くのですか?

どちらが年上かがわからないと、韓国語ではどう話しかければいいかが決まらないからです。韓国語の文にはどれも話し方の段階があり、日常の分かれ目は、요(ヨ)や니다(ニダ)で終わる丁寧な존댓말(チョンデンマル)と、くだけた반말(パンマル)、日本語でいう「ため口」の二つです。韓国の国立の国語機関クンニプクゴウォン(국립국어원)が運営するオープン辞書、ウリマルセム(우리말샘)は、반말に向きの異なる二つの意味を載せています。一つ目は、聞き手を高めも低めもしない話し方で、関係がはっきりしないときや、とても親しい間柄で使われるものです。二つ目は、目下の人に対するように相手を低めて話す言葉です。くだけた一文がどちらの意味に聞こえるかは、年齢の上下でかなりの部分が決まります。

敬意は文の内側にも入り込みます。主語が目上の人なら動詞に尊敬の-시-(シ)がつき、와요(ワヨ/来ます)は오세요(オセヨ/いらっしゃいます)に変わります。名詞まで入れ替わるものもあり、年齢をいうふつうの言葉나이(ナイ)は、年上の人の年齢を指すときには연세(ヨンセ)になります。名前を知っても、この問題は片づきません。ウリマルセムは、名前のあとにつける丁寧な씨(シ)について、公式・事務的な場や多くの読者に向けた文章でないかぎり、目上の人には使いにくい言葉だと注記しています。丁寧なつもりの「김 씨(キム シ)」がかえって失礼に響くことがあるのは、このためです。名前が教えてくれるのは書き留める文字で、生まれ年が教えてくれるのは話し方なのです。

序列そのものは古いものです。韓国の代表的な百科事典『ハングンミンジョンムナデベククァサジョン(한국민족문화대백과사전)』は、その源を『孟子』が説いた五つの人間関係、五倫に求めています。その一つが장유유서(チャンユユソ)、漢字で書けば「長幼有序」で、年長者と年少者の間には順序があるという教えです。日本語でも「長幼の序」として知られている言葉ですね。同じ事典は酒の項目で「찬물에도 위아래가 있다(冷たい水にも上下がある)」ということわざを引き、酒の席がいつもこの順序に従ってきた理由を説明しています。お辞儀も同じ根から育ったもので、誰に、どれほど深く頭を下げるかはいまもこの序列に沿っています。

年齢がわかると、呼び方はどう変わりますか?

どちらが年上かと、話し手自身の性別で決まります。相手の性別ではありません。親しくなると、年下の側は年上の相手を「名前+씨」で呼ぶのをやめ、家族の呼び方を借りた親族呼称に切り替えることが多くなります。

年下の話し手が…年上の男性を呼ぶとき年上の女性を呼ぶとき
男性형(ヒョン)누나(ヌナ)
女性오빠(オッパ)언니(オンニ)

4つとも、もとはきょうだいを指す言葉です。ウリマルセムはそれぞれに二つ目の意味を載せていて、血のつながらない年上の親しい相手を、年下の人が親しみを込めて呼ぶ言葉だと説明しています。カフェやグループチャットで耳にするのは、こちらの意味のほうです。年上の側は年下の友人を名前で呼べばよく、지영아(ジヨンア)、민수야(ミンスヤ)のように、呼びかけの아・야をつけることもよくあります。ウリマルセムは、弟や妹を指す동생(トンセン)についても、他人どうしの間で年上の人が年下の人を親しみを込めて呼んだり指したりする言葉として載せています。単語そのものよりも学習者をつまずかせるのは、この4つを誰が、いつから使えるのかというルールのほうです。

同じ年に生まれたなら、二人は동갑(トンガプ)です。韓国の国語辞典『ピョジュングゴデサジョン(표준국어대사전)』はこの語を漢字で「同甲」と書き、六十甲子が同じという意味から、同い年を指す言葉だと説明しています。比べているのは誕生日まで含めた正確な年齢ではなく、生まれた年だということがよくわかる言葉です。동갑の友人どうしは名前で呼び合い、親しくなれば対等な立場で반말を使います。반말の一つ目の意味が、そのまま生きている場面です。

学校と職場では、もう一つ呼び方が加わります。선배(ソンベ)は同じ分野や同じ学校で自分より先を行く人のことで、漢字で書けば日本語と同じ「先輩」です。님をつけた선배님(ソンベニム)は、それだけで呼びかけの言葉になります。この呼び方が、あとで年齢と立場がぶつかる場面で効いてきます。

ため口に切り替えるのは、いつ、誰からですか?

関係が落ち着いたと感じられたときで、たいていは言葉に出して切り出されます。決まった言い方は말을 놓다(マルル ノタ)、直訳すると「言葉を置く」で、ウリマルセムは놓다のこの用法を、対等な立場で、あるいは目下の相手に対して、敬語を使わずに話すことだと定義しています。実際には「말 놓을까요?(マル ノウルッカヨ/ため口にしましょうか)」という問いかけか、年上の側からの「말 편하게 하세요(マル ピョナゲ ハセヨ/気楽に話してください)」という許可の形で耳にします。동갑の知り合いどうしなら、どちらから言い出してもかまいません。年の差があるときは、年上の人が言い出すのを待つのがいちばん安全です。ウリマルセムが載せる반말の二つ目の意味が、目下の人に対するように相手を低めて話す言葉だからです。

旅行者がつまずきやすいのは、この非対称なところです。あなたが年上の側なら、あなたが반말に切り替えたあとも、年下の相手は丁寧な言葉を使い続けるかもしれません。それはよそよそしさではなく、ごく普通のことです。年下の側なら、相手がすでにくだけた話し方になっていても、誘われるまでは요で終わる話し方を続けましょう。誘われないまま반말に移るのは、まさに「相手を低めて話す」ほうの意味にあたり、相手にもそう受け取られてしまいます。

2023年の満年齢統一で、韓国の年齢の上下関係は変わったのですか?

変わっていません。変わったのは書類の上の数字で、序列はもともとその数字の上に成り立っていなかったからです。伝統的な数え方である세는 나이(セヌン ナイ)では、赤ちゃんは生まれた時点で1歳になり、毎年1月1日にひとつずつ年をとりました。2023年6月28日、行政の基本ルールを定めたヘンジョンギボンボプ(행정기본법)と、民法にあたるミンボプ(민법)の改正が施行され、ほかの法律に特別な定めがないかぎり、法律上・行政上の年齢は満年齢、つまり만 나이(マン ナイ)で数えることになりました。政府の発表は、賃金ピーク制でいう「56歳」が満年齢の55歳なのか56歳なのかをめぐって、2022年3月まで続いた争いを例に挙げています。

日本は同じ切り替えを、韓国より73年早く経験しています。1950年1月1日に施行された「年齢のとなえ方に関する法律」は、数え年で年齢を言い表す従来のならわしを改め、満年齢で言い表すよう国民に「心がけなければならない」と求めました。国や地方公共団体の機関には、原則として満年齢で言い表すよう義務づけています。日本の法律が日々の言い方にまで心がけを求めたのに対し、韓国の改正が定めたのは法律や行政で年齢をどう読むかで、人づきあいの序列には手を触れていません。

しかも、いくつかの制度はあえて生まれ年で数えるまま残されました。小学校の入学、兵役、公務員試験の受験資格、そしてチョンソニョン ポホボプ(청소년 보호법)によるお酒とたばこの年齢制限などです。法令を所管するポプチェチョ(법제처)の説明は実際的でした。学年や兵役は1年単位で管理されていて、同じ年に生まれた友人どうしを誕生日で分けるような年齢制限は、日々の暮らしをややこしくするだけだというのです。

制度数え方2026年にあてはめると
小学校の入学満6歳になった年の翌年3月1日に入学1年生のクラスは原則として同じ生まれ年
お酒・たばこ生まれ年で判断2007年以前に生まれた人なら購入できる
兵役生まれ年で判断2007年生まれの男性が兵役判定検査の対象

兵役を担当するピョンムチョン(병무청)の兵役判定検査は、2026年は1月15日から12月23日まで行われます。ピョンムチョンは1月の報道資料で、対象となる2007年生まれの世代を「黄金の豚(황금돼지)」の年に生まれた世代として紹介しました。

お酒の扱いは、日本と比べるとよく見えてきます。日本では2022年4月1日に成年年齢が18歳へ引き下げられましたが、お酒とたばこの年齢制限は20歳のまま維持されています。そして日本の「20歳」は満年齢なので、同じ学年の友人どうしでも、飲めるようになる日は誕生日によってばらばらです。韓国はその逆で、同じ年に生まれた仲間がそろって1月1日に解禁される仕組みを選びました。

韓国の学年は生まれ年で決まるのですか?

いまの韓国の小学校では、原則としてそのとおりです。子どもは満6歳になった年の翌年の3月1日に小学校へ入学するのが原則なので、1年生のクラスは事実上ひとつの生まれ年でできています。その年が一生ついて回る同世代の目印になり、だからこそ質問が数字ではなく「몇 년생이세요?」という形で届くことがあるのです。

ただし、2009年より前に入学した世代、いまの20代半ば以上の大人には、ひとつねじれがあります。2009年3月に入学する子どもから規則が変わるまで、1つの学年は3月1日から翌年2月末までに生まれた子どもで構成されていました。2008年に政府がこの切り替えを告知した文書にも、そう書かれています。そのため1月・2月生まれの子は、前の年に生まれた子と一緒に入学していました。その同級生をいまも同世代とみなし、自分を빠른 년생(パルン ニョンセン、「早い生まれ年」ほどの意味)と呼ぶ人がいます。ウリマルセムによれば、標準の表記は빠른 연생です。

日本の読者なら、ここで「早生まれ」を思い浮かべるでしょう。日本の小学校の学年は4月1日に始まり、福岡市教育委員会の入学案内でも、2026年4月の新1年生は2019年4月2日から2020年4月1日までに生まれた子どもとされています。1月1日から4月1日までに生まれた早生まれの子が、前の年に生まれた子と同じ学年になるのは、韓国の빠른 년생とよく似た仕組みです。違うのはその先で、日本はいまもこの区切りを使い続けていますが、韓国は2009年の入学から学年を生まれ年にそろえました。

빠른 년생の人が、前後の生まれ年の人たちと同じテーブルにつくと、序列は一気に揺らぎます。年上のグループから見れば同級生、年下のグループから見れば同じ生まれ年の仲間だからです。規則が変わったあとに入学した子どもにはこの問題がそもそもないので、このねじれは世代とともに少しずつ消えつつあります。

年上なら、職場や学校でもいつも上の立場ですか?

いいえ。職場で呼び方を決めるのは役職で、年齢が主に左右するのは口調のほうです。新入社員は年下のチーム長を팀장님(ティムジャンニム、チーム長に敬称の님をつけた形)と呼び、丁寧な話し方を続けます。クンニプクゴウォンがまとめた言葉づかいの指針『ピョジュン オノ イェジョル(표준 언어 예절)』はさらに踏み込み、職場では上司に対してだけでなく、どの立場の同僚に話すときも尊敬の-시-をつけるよう示しています。職場の呼び方は役職が基本なので、형や누나のような親族呼称は、当たり前に使うものではなく、同僚どうしが合意して使うものと考えておきましょう。

学校にも独自の序列がありますが、数えるのは生まれ年ではなく入学年です。ウリマルセムは선배を、自分より先にその学校に入った人と定義しているので、浪人などで遅れて大学に入った学生は、自分より若い学生の후배(フベ、後輩)になることがあります。キャンパスでこの序列を表す略語が학번(ハクボン)で、『ピョジュングゴデサジョン』は入学年度と学科によって割り振られる番号だと説明しています。とはいえ、どちらの序列も無礼を許す理由にはなりません。立場を笠に着る人を指す갑질(カプチル)という手厳しい言葉があるほどです。

年齢を聞かれたら、どう答えればいいですか?

丁寧な言葉で生まれ年を伝え、その先のペースは相手に任せましょう。「저는 1995년생이에요(1995年生まれです)」と短く答えれば、相手が本当に知りたいことにそのまま応えられますし、昔の数え方と新しい数え方のどちらなのかという混乱も避けられます。「몇 살이에요?(ミョッ サリエヨ/何歳ですか)」と聞かれたら、満年齢を答えてから生まれ年を添えましょう。

そのあとは、3つのことに気をつけてください。年上の側なら、親しくなるにつれて형、오빠、누나、언니のどれかで呼ばれるようになるかもしれませんし、名前に씨をつけた呼び方のままかもしれません。生まれ年が同じなら、ため口への誘いが来ることがあります。それを受けるのは格下げではなく、むしろほめ言葉です。年下の側なら、文末の요を外さずに、誘われるのを待ちましょう。短い旅行なら、店員や初対面の人には、年齢に関係なく丁寧な話し方を選んでおけば安心です。序列が意味を持ちはじめるのは、友情が始まってからなのです。

よくある質問

Q: 韓国人に年齢を聞くのは失礼ですか?丁寧な言い方はありますか?

知り合ったばかりの段階なら、失礼にはなりません。答えがわかれば、お互いにどう話せばいいかが決まるからです。丁寧に聞くなら「나이가 어떻게 되세요?(ナイガ オットッケ トェセヨ)」、明らかに年上の相手には尊敬の名詞に替えて「연세가 어떻게 되세요?(ヨンセガ オットッケ トェセヨ)」と聞きます。

Q: 韓国の年齢の数え方で、数え年を満年齢に直すにはどうすればいいですか?

数え年から、今年の誕生日がもう来ていれば1を、まだ来ていなければ2を引きます。ポプチェチョが2023年の切り替えの際の説明で示した目安です。

Q: 2026年、18歳でも韓国でお酒を買えますか?

2007年生まれなら買えます。チョンソニョン ポホボプは生まれ年だけを見るので、2007年生まれの人は全員、2026年1月1日からお酒とたばこを買えるようになりました。誕生日が来るまで満18歳のままの人も含まれます。年齢確認に備えて、パスポートを持ち歩きましょう。

Q: 年上の韓国人の友達を「オッパ」や「オンニ」と呼ばないといけませんか?

その必要はありません。この呼び方が示すのは義務ではなく親しさで、名前に씨をつける呼び方が丁寧な代わりになります。ただしウリマルセムは、씨は公式・事務的な場や多くの読者に向けた文章でないかぎり、目上の人には使いにくいと注記しています。呼び方を変えたいなら、「오빠라고 불러도 돼요?(オッパラゴ プルロド ドェヨ/オッパと呼んでもいいですか)」と先に聞いてみましょう。

最初の会食で立ち入ったように聞こえたあの質問は、実はひとつの気づかいです。生まれ年がテーブルに出そろえば、誰もがどう話せばいいかがわかり、会話はようやく肩の力を抜いて進みはじめます。

特集 韓国のマナーと礼儀作法