チムジルバンはタトゥーOK?韓国の入場ルールと隠し方
日本では、コイン大のタトゥーひとつで温泉の入り口から引き返されることが今もあります。ところが海を渡ると、その緊張感はほとんど消えます。韓国のチムジルバン(韓国式サウナ)は、たいていタトゥーOKだからです。ソウルのチムジルバンでは、腕一面に入れ墨の入った旅行者がすぐ隣の湯船に浸かっているのも、特に珍しい光景ではありません。この落差に戸惑う初心者は少なくありません。厳しい禁止を覚悟して来たのに、韓国の法律にはそもそも入れ墨の客を断る規定がないのです。チムジルバンのタトゥー事情は店ごとに決まるので、掲示板の不安げな書き込みよりずっと緩いのが実情です。とはいえ完全な無法地帯ではなく、釜山の有名スパのひとつは、背中一面の作品がそのまま当てはまる条項を掲げています。
すぐわかる答え
- はい、韓国のチムジルバンにはたいていタトゥーがあっても入れます。国の入浴施設ルールが定める「入場を断るべき人」は感染症の人や泥酔して正常に入浴できない人で、タトゥーはその一覧に入っていません。
- 入れ墨が人目に触れるのは、裸で過ごす男女別の浴場だけです。男女共用のオンドル(床暖房)ラウンジでは、受付で渡される綿のTシャツと短パンを全員が着ています。
- 独自の制限を設ける店もあります。釜山のスパランドは、全身・両腕・両脚、または体の前面か背面全体にタトゥーがある客は入場を断られる場合があるとしています。古いガイドに今も載っているソウルのドラゴンヒルスパは、2021年に閉館してから再開していません。
韓国のチムジルバンはタトゥーOK?
はい、ほとんどの場合は入れます。入れ墨を理由に入場を断れ、という全国ルールがないからです。靴を小さな靴箱に入れ、その鍵を受付でロッカーの鍵と綿の短パン・Tシャツ一式に交換すれば、それで「関所」はおしまいです。検査も書類も、隠せという要求もありません。実際にあるルールは公衆衛生管理法に基づくもので、入浴施設の営業者に、感染症の人と、飲酒などで正常に入浴できない人の入場を断るよう定めています。タトゥーは、この一覧にありません。一覧は2022年6月に保健福祉部が改正し、精神疾患のある人を入場拒否の対象から外しています。同じ改正で、子どもが異性の浴室に入れなくなる年齢も満5歳から満4歳に引き下げられました。日本でも2020年12月に国の「公衆浴場における衛生等管理要領」が改正され、混浴を制限する年齢の目安が「おおむね10歳以上」から「おおむね7歳以上」に下がっています。ただしこの要領は国の技術的助言で、実際の基準は都道府県などが条例で定めます。
かつての韓国のタトゥーへの抵抗感は社会的なもので、大きな入れ墨が組織暴力の目印と見られた時代の名残です。法律が問題にしたのは、入れ墨をしている客ではなく彫る側でした。1992年の大法院(最高裁)判決以降、医師免許のない人がタトゥーを施すことは違法とされ、国会が文身師法を可決したのは2025年9月25日のことです。公布から2年後に、医療人ではないタトゥーアーティストが免許を取って施術できる道が開きます。日本では2020年9月、医師免許のない彫り師が医師法違反に問われた事件で、最高裁判所がタトゥー施術は「医行為」に当たらないと判断しました。医師免許のない人の施術を違法とした韓国の大法院とは、逆の結論です。多くの初心者が拍子抜けするのは、想像していた関所がまったく現れないことです。視線を集めるとしたら、腕のスリーブよりも入浴前のシャワーを省いたことのほうです。だからこそ今、宮殿をもうひとつ回る代わりにチムジルバンで一晩を過ごす旅を選ぶ旅行者が増えています。
本当に大事なチムジルバンのタトゥー・ルール
チムジルバンで入れ墨が問題になるかどうかは、タトゥーの大きさより「館内のどこにいるか」で決まります。チムジルバンは、実は二つの空間でできています。ひとつは湯船やシャワー、温冷の浴槽がある浴場で、男女別に分かれ、全員が裸で入ります。タトゥーが見えるのはこの場所だけです。もうひとつは乾いた共用エリアで、温かいオンドルの床、軽食コーナー、仮眠マットが並びます。こちらは男女一緒で、全員が受付で渡される館内着を着ているため、胴体や背中、太ももの入れ墨はまず目に入りません。全国共通のサイズ上限はありません。上限を書いているのは個々の店で、確認できる条項は手首の小さな文字のタトゥーではなく、腕全体や背中一面といった広範囲の作品を対象にしています。代わりに、どこでも本気で求められるマナーがひとつあります。共用の湯に入る前に、腰掛けて使うシャワーで体をしっかり洗うことです。
韓国のサウナのタトゥー事情が日本と違うわけ
韓国の入浴文化は、入り口に「入れ墨お断り」を掲げることを前提にしてきませんでした。入浴を拒むべき相手の規定に入れ墨がない点は日本の公衆浴場法第4条も同じで、同条が営業者に入浴を拒ませているのは「伝染性の疾病にかかつている者と認められる者」です。違いが出たのは施設の対応で、日本では入れ墨を理由に入浴を断る施設が、国が動くほど広がっていました。観光庁が2015年に全国の旅館・ホテルを調査した際、回答した581施設のうち56%が入れ墨のある人の入浴を断っていると答えたと日本経済新聞が報じています。観光庁は2016年3月、日本ホテル協会や日本旅館協会、日本温泉協会などに宛てた事務連絡で、入れ墨があることのみを理由に入浴を拒否するのは「適切ではございません」と伝え、シールで覆う、入浴時間帯を工夫する、貸切風呂に案内するといった対応事例を示しています。手のひらサイズほどの小さな入れ墨なら特別な対応を求めない、という例も含まれています。韓国にも入れ墨への抵抗感はありましたが、日本ほど表に出ることはなく、店や常連ごとの空気にとどまってきました。つまり韓国のサウナのタトゥー事情は、法律ではなく店ごとに決まります。「ルール」の正体は、そのオーナーと常連がどれだけ保守的か、というだけの話なのです。
独自のタトゥー規定があるチムジルバンは?
「タトゥーOK」の認定マークを出すチムジルバンはないので、確かめるべきは店が独自の条項を書いているかどうかです。いちばんはっきりした条項を掲げているのは、路地裏の銭湯ではなく有名な大型スパです。2026年、釜山・新世界センタムシティ内のスパランドは大人26,000ウォンで最長4時間(超過は1時間ごとに5,000ウォン)、営業は9:00〜22:00で最終入場は21:00です。韓国の予約サイトに載る利用条件には、全身・両腕・両脚、または前面・背面全体にタトゥーのある客は入場を制限される場合がある、とあります。実際の運用はまちまちだという来場者の声もありますが、背中一面の作品はまさにこの条文に当てはまるので、支払う前に受付で確認するのが確実です。スパランドは釜山シネマセンターと同じセンタムシティ地区にあるので、釜山国際映画祭の上映の合間に立ち寄るのにも便利です。
ソウルでは、おすすめの店が今も営業しているかを先に確かめるのが先決です。龍山(ヨンサン)駅そばのドラゴンヒルスパは今も多くの英語ガイドに載っていますが、新型コロナの影響で2021年に休業し、2024年8月に韓国メディアが確認した時点でも再開していませんでした。料金が公開されている24時間営業の選択肢なら、地下鉄2号線江辺(カンビョン)駅4番出口から400mのリバーサイドスパランドがあります。ソウル市の公式観光サイト(2026年5月更新)によると、チムジルバンの昼間料金は15,000ウォン、夜間は17,000ウォンで、タトゥーに関する規定は載っていません。常連に言わせれば、どこでも通じる法則は単純です。街の銭湯(モギョクタン)は小さく古いほど客層の年齢も高く、大きな作品に視線が向くこともあります。ただし、視線はルールではありません。
よくある質問
Q: チムジルバンでタトゥーは隠さないといけませんか?
たいていは必要ありません。タトゥーが見えるのは裸の浴場だけで、隠すよう求める全国ルールはありません。例外は釜山のスパランドのように広範囲のタトゥーに独自の条項を設けている店なので、肌色のパッチは義務ではなく安心材料と考えれば十分です。
Q: 韓国のウォーターパークではタトゥーは禁止ですか?
全国一律の禁止はありません。キャリビアンベイの公式利用ガイド(2023年版)には感染症、イヤリングやヘアピン、水着に関する注意はありますが、タトゥーの禁止は書かれていません。ただ、露出したタトゥーへの苦情が集まりやすいのはプールなので、ラッシュガードを着ると余計な摩擦を避けられます。
Q: スタッフにタトゥーを隠すよう言われたらどうすればいいですか?
素直に隠すか、まだロッカーを使う前なら返金を頼むのが現実的です。ルールは店ごとに決まり、国の入浴施設基準に訴えられる根拠はありません。独自の条項がある店なら、支払う前に受付で聞いておけば問題そのものを避けられます。
Q: タトゥーのある外国人でもチムジルバンに泊まれますか?
はい。宿泊は館内着を着た男女共用ラウンジで過ごすので、タトゥーは人目に触れません。ソウル市の観光サイトによれば、24時間営業のリバーサイドスパランドの夜間料金は17,000ウォンです。旅行者がチムジルバンを安い深夜の宿として使うのは、この値段だからです。
着替えを一組持って、湯に入る前にシャワーを浴び、背中一面にタトゥーがあるなら受付の掲示を読んでおくと安心です。タトゥーアーティストの免許制が国会を通ったのは、ようやく2025年のことです。そんな国でも、銭湯の入り口は拍子抜けするほど気軽に通れます。
特集 韓国のマナーと礼儀作法