韓国語と日本語で似てる単語|約束(약속)はなぜ同じ?
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약속(ヤクソク)という韓国語を初めて見たとき、「あれ、これ知ってる」と感じる日本語話者は少なくありません。それもそのはずで、漢字は日本語と同じ「約束」、読み方もよく似ていて、意味はまったく同じです。しかも、これは珍しい例外ではありません。韓国語と日本語には、こうした似てる単語が実は数百組もあり、そのほとんどは偶然の一致ではないのです。まずはこの一語を入口にして、少しずつ範囲を広げていきましょう。読み終えるころには、自分がすでに知っている韓国語の多さに、きっと驚くはずです。
早わかり
- 약속(ヤクソク)と「約束(やくそく)」がそっくりなのは、どちらも同じ漢字「約束」をそれぞれの言語の音で読んでいるからです。韓国の『標準国語大辞典』も약속の漢字を「約束」としており、意味も日本語とまったく同じです。
- 漢字語は韓国語の語彙のなかで最大の層です。国立国語院の語種別の集計では、見出し語のうち漢字語が193,809語で、固有語の76,072語の2倍以上にのぼります。日本語も同じ中国語から漢字を取り入れたため、音の似た単語がたくさん生まれました。
- ただし、すべての単語が似ているわけではありません。韓国語の固有語と日本語の和語(たとえば「水」を表す言葉)はまったくの別物で、似ているのはほぼ漢字由来の層に限られます。
なぜ약속は日本語の「やくそく」とそっくりなのですか?
同じ2文字の漢字「約束」を、韓国語と日本語がそれぞれ中国語から取り入れた音で読んでいるからです。韓国語では約を「약(ヤク)」、束を「속(ソク)」と読み、つなげると약속(ヤクソク)になります。国立国語院の『韓国語基礎辞典』日本語版で약속を引くと、訳語はそのまま「やくそく【約束】」で、発音は[약쏙]と表示されています。つづりの속と発音の쏙とで子音が変わる点も、あわせて覚えておきましょう。日本語のほうは、常用漢字表(1981年告示、2010年改定)が約に「ヤク」、束に「ソク」という音読みを示していて、つなげると「やくそく」です。声に出して並べてみると、似ている理由がよくわかります。日本語が「や・く・そ・く」とのばして読む音を、韓国語はぎゅっと縮めて発音しているだけなのです。この単語は、どちらかの言語が作り出したものではありません。両方とも、中国語という同じ出どころから受け継いだ言葉です。そう考えると、약속はただの偶然ではなく、この先いくつも出てくる共通パターンの最初の一例に見えてきます。
韓国語と日本語の共通単語は、どこから来たのですか?
もとをたどると、古典中国語(漢文)に行き着きます。韓国も日本も、千年以上にわたってそこから語彙を取り入れてきました。文字の呼び名も共通で、日本語の「漢字」は韓国語では한자(ハンジャ)と読みます。日本語の漢字に音読みがあるように、韓国語の漢字にも中国語由来の読み方があり、漢字をこの読み方で読む単語を、韓国語では漢字語(한자어)と呼びます。日本語でいえば漢語、つまり『デジタル大辞泉』の定義する「字音で読まれる漢字から成る熟語」にあたる層です。どちらの読みも昔の中国語の発音がもとになっているので、音が似てくることがよくあります。
しかも、その数は想像以上です。国立国語院がまとめた語種別の内訳を見ると、『標準国語大辞典』の見出し語425,280語のうち、漢字語が193,809語を占めています。固有語の76,072語と比べると2倍以上で、ほかに両者がまじった混種語も74,843語あります。漢字語は韓国語の片すみにある特別な語彙ではなく、いちばん大きな層で、かための言葉や学術用語、専門用語の骨組みにもなっています。
もうひとつ知っておきたいのが、近代に入ってからの「第二の波」です。19世紀末から20世紀初めにかけて、日本の学者たちは西洋の概念を訳すために漢字を組み合わせ、「経済」「社会」「電話」「哲学」といった新しい熟語を次々に作りました。日本語ではこうした言葉を和製漢語と呼びます。『デジタル大辞泉』の定義は「日本で漢字を組み合わせて作られた熟語」で、例には「国際」「哲学」が並んでいます。こうして生まれた言葉は、その後、韓国語や中国語にも入っていきました。韓国側の資料にもその跡があり、『韓国民族文化大百科事典』は漢字語の分類に「日本で作られたもの」という項目を設けて、입구(イプク、入口)や상담(サンダム、相談)を例に挙げています。사회(サフェ)と日本語の「社会(しゃかい)」が同じ漢字で同じ意味を表すのは、このためです。ただ、音は약속と「やくそく」ほど近くありません。漢字が同じなら意味もほぼ同じですが、音まで似ているとは限りません。ここは、ぜひ覚えておきたいポイントです。
韓国語と日本語で似てる単語:まず覚えたい10語
韓国語を学び始めた人が「え、これも?」と驚きやすい単語を、ハングル・読み方・対応する日本語とあわせて並べました。日本語ができる人なら、このうち多くは初めて見ても意味の見当がつくはずです。
- 무리(ムリ):無理(むり)。「もう無理」とこぼすときの、あきらめ混じりの口ぶりまでそっくりです。
- 준비(ジュンビ):準備(じゅんび)。音も意味も同じです。
- 온도(オンド):温度(おんど)。完全に一致します。
- 무료(ムリョ):無料(むりょう)。違うのは、のばす音があるかないかだけです。
- 기분(キブン):気分(きぶん)。「気分・気持ち」という意味まで、ほぼそのままです。
- 가족(カジョク):家族(かぞく)。なまりが違うだけの、同じ単語です。
- 도서관(トソグァン):図書館(としょかん)。少し長めですが、リズムがそろっています。
- 감사(カムサ):感謝(かんしゃ)。おなじみの감사합니다(カムサハムニダ)の감사で、감と「かん」の対応が決め手です。
- 기억(キオク):記憶(きおく)。音もかなり近い組み合わせです。
- 만족(マンジョク):満足(まんぞく)。同じ漢字で、意味も同じです。
このリストを声に出して読むと、音の対応に決まった型があることに気づきます。韓国語が속(sok)のように子音で言い切るところを、日本語は母音を足して「そく(soku)」と読むことがよくあります。また、韓国語のg(ㄱ)が日本語のkにあたるように、決まった形でずれる子音もいくつかあります。この2つのクセに慣れると、丸暗記しなくても、対応する日本語を予想できるようになります。こうした音の感覚は、漢字語以外の単語を読むときにも役立ちます。ハングルを速く読むための発音ルールを知っておくと、つづりと発音がずれる場面も、でたらめではなく規則として見えてきます。漢字語の層が暮らしのすみずみにあることは、名字を見るとよくわかります。金・李・朴はどれも漢字の名字なので、韓国の名字の読み方も、その漢字が韓国語でどう読まれてきたかがわかれば、ほとんど説明がつきます。
では、なぜ似ていない単語もあるのですか?
韓国語にも日本語にも、中国語とは関係のない昔からの言葉があり、その部分はまったく似ていないからです。日本語の和語(やまとことば)にあたるのが、韓国語の固有語です。たとえば「水」は、韓国語では물(ムル)、日本語では「みず」で、音に共通点はありません。数の数え方でも事情は同じです。하나・둘・셋(ハナ・トゥル・セッ)と「ひとつ・ふたつ・みっつ」には、共通の語源がまったくありません。『改訂新版 世界大百科事典』は、字音語の「図書」に対する和語として「ふみ」を挙げています。リストの도서관(図書館)が日本語とそっくりなのも、「ふみ」ではなく字音語の「図書」を使った単語だからです。似ている単語がいくら多くても、韓国語と日本語を「ほぼ同じ言葉」とは言えない理由がここにあります。もともとの基本語どうしは無関係で、似ているのは、あとから積み重なった漢字の層がほとんどなのです。
ただし、「漢字が同じなら意味も同じ」と決めつけるのは少し早いかもしれません。同じ漢字を使っていても、いつのまにか意味がずれてしまった単語が、わずかにあるからです。「だいたいは通じるけれど、ときどき落とし穴がある」くらいに考えておくと安心です。代表的な例が「愛人」です。韓国語の애인(エイン)は恋人やパートナーのことで、国立国語院の『韓国語基礎辞典』日本語版でも、訳語は「愛人」ではなく「こいびと【恋人】」になっています。一方、日本語で「あいじん」と読むと、秘密の関係にある相手というニュアンスが強くなります。『精選版 日本国語大辞典』の語誌によれば、日本語の「愛人」は第二次大戦後、新聞などで「情婦」「情夫」の婉曲的な表現として使われるようになりました。こうした例は多くありませんが、一度知ると忘れにくいものです。まちがえながら覚えるのは誰でも同じです。まれな例外を怖がるより、たいていは当たるこのパターンを、どんどん使ってみてください。
よくある質問
Q: 약속(ヤクソク)はどんな意味で、どう使うのですか?
日本語の「約束」とほぼ同じで、取り決めそのものも、人と会う予定も表します。『韓国語基礎辞典』日本語版の語釈は「他人と一定の行動をすることを前もって決めること。また、そう決めた内容。」で、決めることと、決めた中身の両方をひとつにまとめています。약속 있어요(ヤクソク イッソヨ、予定があります)とも、약속을 지키다(約束を守る)とも言えて、使い方の幅は日本語の「やくそく」とほとんど変わりません。
Q: 韓国語と日本語は同じ系統の言語なのですか?
共通する語彙はたくさんありますが、固有語の基本的な部分はつながっていません。そのため2026年現在も、両言語が同じ系統だとは証明されていない、というのが多くの言語学者の見方です。似ていると感じる理由は二つあります。どちらも中国語から多くの言葉を借りたこと、そして文法の組み立てが似ていることです。「水」や「一」のような基本的な言葉まで、共通の祖先から受け継いでいるわけではありません。
Q: 韓国語と日本語に似てる単語が多いのはなぜですか?
千年以上にわたって、どちらも古典中国語から語彙を取り入れてきたうえに、1900年前後に日本で作られた近代の熟語もまとめて受け入れたからです。韓国語の漢字語と日本語の漢語は、どちらも中国語の音がもとになっているので読み方も近く、약속と「約束」がここまで似た音になるのもそのためです。
Q: 무리(ムリ)は本当に韓国語と日本語で同じなのですか?
はい。무리は日本語の「無理」と同じく「ムリ」と読み、「できない」「やりすぎ」という意味で使います。うんざりしたときに口にする感じまでそっくりで、共通の単語のなかでも特にきれいに対応する例です。『韓国語基礎辞典』には「지금 사귀는 사람도 없는데 내년에 결혼은 좀 무리야」(いま付き合っている人もいないのに、来年結婚するのはちょっと無理だよ)という例文も載っています。ひとつ注意したいのは、同じつづりの무리がもうひとつあることです。辞書では漢字のない무리1が別の見出し語になっていて、訳語は「むれ【群れ】」「しゅうだん【集団】」です。文脈で見分けられるので心配はいりませんが、辞書を引くときに知っておくと迷いません。
Q: 韓国語の漢字語は、日本語から借りた言葉なのですか?
ほとんどは違います。似ている単語の大部分は、韓国語と日本語がそれぞれ別々に中国語から取り入れたもので、二つの言語のあいだで貸し借りしたわけではありません。ただし、「社会」や「経済」のような近代の言葉の一部は、20世紀初めに実際に日本から韓国へ伝わりました。一方、약속のような日常語は、それより何世紀も前から使われています。
Q: 日本語ができると、韓国語を早く学べますか?
はい、大きな強みになります。共通の漢字語があるおかげで、日本語話者は何千もの単語について最初から手がかりを持った状態で始められますし、熟語の組み立て方にもなじみがあります。ハングルや文法はゼロから学ぶ必要がありますが、語彙の面で一歩先を行けるのは確かです。これから韓国語を始める人にとって、大きな励みになるはずです。
まずは약속から始めて、あとはこのパターンに沿って単語を増やしていきましょう。「これも日本語に似てる」と気づくたびに、自分がもう知っている韓国語が思っていたより多いことを実感できるはずです。