文化

韓国のゴープコアブランド4選:グラノーラとの違いと着こなし

ソウルのオフィスビルを背に、宮殿のテラスに立つ白と青のハンボク姿の女性
目次
  1. ゴープコアとは?グラノーラとの違い
  2. 1. コーロンスポーツ:1973年から続く韓国初のアウトドアブランド
  3. 2. CAYL:陽川区に店を構えるクライマーのブランド
  4. 3. サンサンギア:合井から来た「機能の最大化」
  5. 4. ディスカバリー・エクスペディション:いちばん手に取りやすいゴープコアブランド
  6. 5. 聖水と汝矣島:まとめて試着できる場所
  7. 6. 4つのレイヤーで組む韓国ゴープコアコーデ
  8. よくある質問

ゴープコアとは、登山用のテクニカルウェアを普段着として着るスタイルのことです。グラノーラはそれを柔らかくした派生スタイルで、防水シェルやナイロンパンツ、トレイルシューズの代わりに、フリースやニット、アースカラーを選びます。ただ韓国では、どちらの言葉も生まれるずっと前から、山の服が街着になっていました。韓国の英字紙コリア・ヘラルド(The Korea Herald)がその源流として挙げるのは、ゴアテックスのジャケットに登山靴という格好のまま、職場にも夕食にも友人との集まりにも出かけていく中年男性たちです。2018年には、デザイナーのキコ・コスタディノフ(Kiko Kostadinov)が東廟(トンミョ)のフリーマーケット周辺でこの装いに目を留め、「世界最高のストリート」と呼びました。この韓国ゴープコアコーデのガイドでは、確かめられる情報だけを使って、韓国のゴープコアブランドと試着できるソウルの店、重ね着の型を紹介します。取り上げるのは、歴史が記録に残っているか自前の店舗を持つブランドと、ギアを一か所で見比べられる店だけです。

早わかり回答

  • ゴープコアはシェルやテクニカルナイロン、トレイルシューズで組む機能優先の装いです。グラノーラはそこにフリースやビーニー、ゆったりしたシルエットを持ち込み、ブラウン、オリーブ、カーキ、マスタードでまとめます。この配色は、韓国のファッションプラットフォーム、ムシンサ(MUSINSA)が2025年12月のグラノーラ特集で挙げたものです。
  • 専門ブランドで押さえておきたいのは、1973年に始まった韓国初のアウトドアブランドのコーロンスポーツ、2011年からのクライミングブランドCAYL、2019年創業で合井(ハプチョン)駅の近くに店を構えるサンサンギアの3つです。気軽に試すなら、ディスカバリー・エクスペディションが入口になります。
  • 一度の外出でまとめて試着するなら、聖水(ソンス)のEQL GROVEが毎日11:00〜20:00に営業しています。汝矣島(ヨイド)のザ・現代ソウルには、サンサンギアの店舗とEQLのスポーツフロアが同じ建物に入っています。

ゴープコアとは?グラノーラとの違い

ひと言でいえば、ゴープコアは機能の服、グラノーラは快適さの服です。ゴープコアが急な天気の崩れに備えた格好なら、グラノーラは焚き火のそばでくつろぐための格好といえます。実はどちらの名前も、スナックにちなんだ言葉遊びから来ています。コリア・ヘラルドによると、ゴープコアという言葉は2017年、米ニューヨーク誌のウェブメディア「The Cut」が作りました。ハイカーがトレイルミックスを呼ぶスラング「gorp」(good old raisins and peanuts)に、ノームコアの「core」を足した造語です。グラノーラのほうは朝食のシリアルが由来で、マリ・クレール韓国版は、自然にやさしく健康的な暮らしを目指す人たちのファッションと定義しています。同誌が2025年12月に出した解説は両者の線引きもはっきりしていて、ゴープコアは機能とテクニカルなディテールを、グラノーラはずっと柔らかくロマンチックな雰囲気を大事にするスタイルだと説明しています。例に挙がったのは、グレーのハイネックフリースを着たRed Velvetのスルギと、パタゴニアのフリースを着たG-DRAGONでした。

グラノーラを2025年冬の新しい流れとして打ち出したのは、韓国のファッションメディアです。ムシンサは2025年12月、「さよならゴープコア、グラノーラコアの登場」という趣旨の見出しで特集を組み、変わるポイントを並べています。温かみのあるブラウン、オリーブ、カーキ、マスタード、フリース、ビーニーやトルーパーハット、ざっくりした素材感、そしてゆったりしたシルエットです。そのムシンサは日本でも2022年7月5日に「MUSINSA GLOBAL STORE」をオープンしていて、日本から韓国ブランドの服を探すときの窓口にもなっています。もっとも、2つのスタイルに必要な服はほとんど共通しています。シェルはそのまま残し、ナイロンパンツとトレイルシューズをフリース、ワイドパンツ、ビーニーに替えるだけで、ゴープコアの装いがグラノーラ寄りになります。

山の服を街で着るといえば、日本では「山ガール」という言葉が思い浮かぶかもしれません。デジタル大辞泉は山ガールを、登山やハイキングを趣味とする若い女性のほか、その装いを町でファッションとして楽しむ女性も指す言葉として説明していて、2010年の新語・流行語大賞(第27回)ではノミネート語にも入りました。韓国で同じように山の服を街に持ち込んでいたのは、若い女性ではなく中年の男性たちだったところが大きな違いです。

1. コーロンスポーツ:1973年から続く韓国初のアウトドアブランド

韓国のアウトドアウェアの歴史は、コーロンスポーツ(KOLON SPORT)から始まります。コーロンは1973年、ソウルの武橋洞(ムギョドン)に1号店を開いてこのブランドを立ち上げ、同社の沿革では今も「韓国初のアウトドアブランド」とうたっています。大阪に本社を置く日本のモンベルの設立が1975年ですから、それより2年早いスタートです。現代の代表作は2012年から売られているプレミアムダウン「アンタークティカ(Antarctica)」で、同社が2023年10月に集計した累計売上は約2,300億ウォンを超えていました。2019年からはアウトドアの本流に立ち返るリブランディングを進めています。ゴープコアで重視される「本物の山の服」という信頼感は、まさにこうした背景に支えられています。買い物の前には、コーロンスポーツ・アーカイブをのぞいてみてください。ブランドの昔のロゴや広告、技術、製品を集めたデジタルアーカイブで、このトレンドに名前がつく何十年も前の韓国の山の服がひと目でわかります。

2. CAYL:陽川区に店を構えるクライマーのブランド

CAYLは「Climb As You Love」の頭文字を取った名前で、2011年からソウルで続くアウトドアブランドです。ロゴよりも、クライミングやボルダリング、ハイキングでの使いやすさで服を選びたい人に、まず知ってほしい名前です。直営店「The Lowest Mountain」は、ソウル南西部・陽川区(ヤンチョン区)の空港大路(コンハンデロ)594の5階にあります。店舗ページの営業時間は水〜金曜の13:00〜20:00と土曜の13:00〜18:00だけなので、遠くから向かうなら事前に確認すると安心です。この記事の以前の版や英語圏の古いまとめ記事には、CAYLを聖水洞のブランドとして紹介したものもありましたが、ブランド自身が載せている住所は違います。オンラインストアでは、CAYLのウェアがHOKA、On、norda、New Balanceのトレイルシューズと一緒に並んでいて、このブランドが思い描くハイカーの服装がよくわかります。

3. サンサンギア:合井から来た「機能の最大化」

ゴープコアの控えめさより、ディテールの面白さに惹かれるなら、サンサンギア(San San Gear)が合います。創業者のSangyup Lee氏が2019年に始めたブランドで、米メディアComplexの取材には「ファッションを機能に寄せるのではなく、機能をファッションに変える」のが狙いだと話しています。Complexはその作風を「ファンクショナル・マキシマリズム」と呼んでいます。大きく張り出したポケットや曲線を描くシーム、デザインの前面に出したジッパーが持ち味で、PUMA、ASICS、リーグ・オブ・レジェンドともコラボレーションしてきました。韓国のカルチャー誌VISLAの報道によると、最初の旗艦店は2024年3月1日、合井(ハプチョン)駅近くの住宅を改装して開きました。いまの店舗一覧に載っているのは、麻浦区チャンダリ路(Jandari-ro)36の合井店(毎日12:00〜21:00)と、ザ・現代ソウル(The Hyundai Seoul)地下2階の2号店です。

石垣の路地にいるハンボク姿の女性2人、オレンジの上衣と緑のスカートの1人がもう1人を撮影している様子

4. ディスカバリー・エクスペディション:いちばん手に取りやすいゴープコアブランド

このスタイルをまず試すなら、いちばん身近な入口はディスカバリー・エクスペディション(Discovery Expedition)です。ファッション企業のF&Fが2012年、ディスカバリーチャンネルとのライセンス契約で韓国に立ち上げたブランドで、山頂より日常を意識したアウトドアウェアを売り出し、韓国の経済メディアが「ライフスタイル・アウトドア」と呼ぶ市場を育てました。ただし、名前をライセンスで借りる時代はもう終わっています。韓国の経済紙ヘラルド経済の報道によると、F&Fは2026年8月、ディスカバリー・エクスペディションのグローバル商標と知的財産権を8,000万ドルで買い取りました。14年間ライセンスで使ってきた名前が、韓国企業のものになったわけです。専門ブランドに高いお金を払うかどうかは、ここで一度試してから決めても遅くありません。

5. 聖水と汝矣島:まとめて試着できる場所

半日で多くのブランドを見比べるなら、単独ブランドの店をはしごするより、マルチブランドストアに行くほうが早道です。ファッション企業Handsome(ハンソム)が聖水に構えるEQL GROVEは、2023年9月から練武場(ヨンムジャン)15ギル11で営業しています。営業時間は毎日11:00〜20:00で、休みはソルラル(旧正月)とチュソク(秋夕)だけです。韓国紙・天地日報の報道によると、EQLは2025年5月、アークテリクス、ゴールドウイン、HOKA、ブルックスランニングなど約30のグローバルスポーツブランドを集めた「パフォーマンスクラブ」を加えました。このうちゴールドウインは、1950年に富山県小矢部市で創業した日本企業、株式会社ゴールドウインの自社ブランドです。2026年9月時点のEQLのイベントページでは、このパフォーマンスクラブはザ・現代ソウルの4階にあり、EQL GROVEではブルックスのランニングポップアップが開かれています。効率を優先するならザ・現代ソウルがおすすめです。同じ建物の地下2階にサンサンギアも入っています。街歩きも楽しみたいなら聖水のほうが向いていて、1日の予定への組み込み方は当サイトの聖水と弘大の比較記事で詳しく紹介しています。

6. 4つのレイヤーで組む韓国ゴープコアコーデ

組み立ては外側からです。シェル、暖かい中間着、テクニカルなパンツ、トレイルシューズの4つを重ね、主張させるのは1点だけにします。土台になるのはシェルで、韓国の年配の男性たちが毎日のように着てきたゴアテックスのジャケットと同じ種類のものです。その下にはフリースかダウンベストを重ねます。この層をブラウンやオリーブ、あるいはニットにすると、装い全体がグラノーラ寄りになります。パンツは、ゴープコアならナイロンやカーゴ、グラノーラならワイドで柔らかいものを選びます。足元はトレイルランニングシューズです。マリ・クレール韓国版によると、カナダのブランドnordaは、2023年にBLACKPINKのジェニーがInstagramに載せた1枚の写真をきっかけに韓国で知られるようになりました。サロモンやHOKAも定番です。最後にキャップかビーニー、トルーパーハットをかぶり、バッグにはナルゲンのボトルを下げます。ナルゲンは、ムシンサのグラノーラ特集が選んだ小物のひとつです。

色づかいには、ソウルの世代差がはっきり表れます。コスタディノフが2018年に投稿した写真の年配の韓国人は鮮やかな色のアウトドアウェアを着ていましたが、若い世代はコリア・ヘラルドの言葉を借りれば、機能服に「より都会的でスタイリッシュなひねり」を加えています。テクニカルなアイテムを1点だけ主役にして、ほかを落ち着いた色でまとめれば、そのひねりは簡単に出せます。カフェではなく本当に山へ行くなら、買う前にまず借りてみるのも手です。ソウルの登山観光センターでは、外国人旅行者に登山靴やジャケット、ストックを貸し出しています。

レース飾りのハンボクに紫、青、黒のスカートを合わせた女性3人が、柳の並ぶ池のほとりに座っている様子

よくある質問

Q: グラノーラとゴープコアは同じものですか?

同じではありません。どちらもアウトドアから着想を得ていますが、ゴープコアの軸はテクニカルな機能、グラノーラの軸は快適さと自然にやさしい暮らしです。マリ・クレール韓国版はグラノーラを「ずっと柔らかくロマンチックな雰囲気」と表現しています。迷ったときは、尾根で雨に降られても耐えられそうならゴープコア、焚き火に似合いそうならグラノーラと考えると見分けやすいです。

Q: 韓国の年配の人は、なぜ街でも登山服を着ているのですか?

韓国の中年男性にとって、登山ウェアは昔から普段着を兼ねてきたからです。コリア・ヘラルドは2023年の記事で、ゴアテックスのジャケットと登山靴のまま職場にも食事にも集まりにも出かける姿を紹介しています。韓国ゴープコアの原点は、この習慣にあります。狙ったわけでもないのに、ソウルの街角がゴープコアの見本帳のように見えるのはそのためです。

Q: CAYLの店舗は聖水洞にありますか?

ありません。CAYLの公式店舗ページによると、直営店The Lowest Mountainは陽川区の空港大路594の5階にあり、営業は水曜から土曜の午後だけです。聖水に寄るなら、EQL GROVEを中心に予定を組むのがおすすめです。

Q: 韓国ゴープコアに合うスニーカーはどれですか?

登山靴より、トレイルランニングシューズが合います。定番はnorda、サロモン、HOKAです。CAYLのオンラインストアはnorda、HOKA、On、New Balanceを扱っているので、服と靴を1回の注文でそろえられます。

最初の一歩は、リストの1番目からで十分です。コーロンスポーツ・アーカイブを10分ほど眺めたら、サンサンギアとEQLのスポーツフロアが同じ建物に入るザ・現代ソウルで午後を過ごしてみてください。自分のワードローブがゴープコア寄りかグラノーラ寄りか、それだけで見えてきます。

特集 韓国ファッションとスタイル